日本文化にインスピレーションを受けた美術家、アンディ・ウォーホル

日本文化にインスピレーションを受けた美術家、アンディ・ウォーホル
2022年9月25日 MELETY
In 芸術/文化

みなさんはアンディ・ウォーホルという方をご存知でしょうか?世界的に有名なデザイナー、アーティストとして知られており、彼が残した作品が数知れず。実はそんな著名な美術家にも日本文化に影響を受けたというヒストリーもあるらしい?!今回はそんなアンディ・ウォーホルについて迫ります。

人物、生涯

アンディーウォーホル(1928年8月6日〜1987年2月22日)はアメリカで活躍したアーティストで、「ポップアート」の創設者として活動し、広告デザインや、雑誌の発刊、バンドプロデュースなど、今のYouTuberのような多岐にわたる活動を展開してました。ポップアートは、1960年代にイギリスで行ったムーブメントで、身近な暮らしの中にある商品や大衆に共通するイメージなどをモチーフにした、芸術表現です。
アートはこれまで人物画や風景など、繊細で格のある作品が主だった時代に、こうした前衛的なテーマで人々の心を掴んだのです。

元々は貧しい出の出身で、1945年にカーネギーメロン大学(人工知能の最高学府!)で美術を専攻し、卒業後商業デザイナーとして生計を立てる決心を立てます。

その後、1960年代にジョンエフケネディが大統領に就任し、アメリカは若い世代が台頭する好景気に湧きます。アンディもその流れに乗り、アメリカの経済史タイム誌にポップアート特集で掲載されるなど、その認知度は高まっていくことになります。

彼が活動初期に借りていたオフィス。おしゃれですね♪

キャンベル・スープ

©アンディーウォーホル キャンベルスープ

ポップアート作品として彼を有名にしたのはこちらの作品。1962年7月9日、アンディウォーホルは32点のキャンベルスープ缶を描いたキャンバスを展示しました。被写体は、この缶の製造元であるキャンベル・スープ・カンパニーが販売していた32種類のスープ缶を使って描かれてます。

一つ一つそれぞれ異なる手法で描かれ、缶に記載されている内容も微妙に異なることから、その細かくて商業的な絵は人々を驚かせました。

彼の凄さは、こうした缶や何気ない商品がアートになり得るということを知らしめたこと。アートとは何か、表現とは何か、芸術とは何か、アートの世界を変えたのがアンディウォーホルです。

©アンディーウォーホル 最後の晩餐

上記は最後の晩餐という作品です。ウォーホルは、幼い頃にカトリックの洗礼を受け、生涯カトリック教徒を貫いた信仰深い人物でした。最後の晩餐という名から連想するように、レオナルドダヴィンチの作品をモチーフにしており、キリストと共にバイクの絵が描かれています。この意味は、ウォーホルが自身の好きなバイクと重ね合わせることでキリストを敬愛している気持ちを表現しているのだそう。

美術館も!

©アンディーウォーホル美術館

アメリカ合衆国のペンシルベニア州南西部に位置するピッツバーグに、アンディの美術館「アンディ・ウォーホル・ミュージアム(The Andy Warhol Museum)」があります。

7階建ての大きな美術館で、2階のギャラリーでは企画展、3~7階ではウォーホルの絵画や版画、映像作品、コンピューターで作られた作品群から、彼がプライベートで集めていた食器やおもちゃまで、様々なものが常設で展示されています。彼は熱心なコレクターとしても有名で、何かひらめきを得るために色々な商品を買ってはアイディアを膨らませていたに違いありません。

ウォーホルと日本との関わり

終戦後の1950年代、サンフランシスコ平和条約が締結され、日本はアメリカの占領下で主権の回復と貿易外交が盛んになっていきます。それに伴い、ウォーホルは東京や京都に訪れています。

舞妓さん(1956年)

©アンディーウォーホル

どことなく趣を感じる作品。ウォーホルは、この来日を機に、アジアを回り、発表した作品中には京都金閣寺などから感じた立体、平面作品を残しています。その後また来日し、三十三間堂や祇園を散策したりと、京都と特にゆかりのある人物だったと言えます。

日本でも期間限定で作品を展示中!


京都にある京都市京セラ美術館で、期間限定でアンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTOが2022年9月17日-2023年2月12日まで開催されています。

ウォーホルは、1956年の世界旅行中に初めて来日し、京都を訪れています。この展示会では、京都とウォーホルの関係に目を向け、そのゆかりを示す作品を展示し、若き日のウォーホルの心を捉えた京都の姿に思いを馳せます。

詳細はこちら!

彼が残した作品はいまだに影響を与え、その背景には日本との関わりが垣間見える、そんな興味深いウォーホルに、今後も目が離せません。