【夏の旬のお花5選】 ~7・8月に生けたいお花~

【夏の旬のお花5選】 ~7・8月に生けたいお花~
2024年4月25日 Masa
In 茶花, 華道

日本には豊かな四季があり、それぞれの季節でしか楽しめない花や草木があります。そうした草花は生け花、茶花、インテリアとしてお家の花瓶に挿しても気軽に楽しむことが出来ます。今回は生け花で夏によく生けられ、お花屋さんでも暑い季節に見かけられるお花を5つ、オススメの生け方と共にご紹介いたします。

桔梗(キキョウ)

細い枝に、青く5角形の星形のような形が涼やかなキキョウ。日本でも昔からその可愛らしい花を楽しむ人は多く、明治頃までは花びらが緑色だったり、花の形がウサギの顔に似たものなど様々な品種が園芸用として育てられていました。
現在その種類は減りましたが、青や白、淡いピンクなどのキキョウが今でも栽培されています。またキキョウは自然のものは絶滅危惧種とされる程少なく、流通しているものは全て人の手で栽培されたものとなります。

■キキョウの生け方

生け花ではその細い茎を長めに切り、花の位置を高く生けて軽やかさを表現したり、逆に茎を短く切って花を低い位置に生け作品のアクセントにすることもあります。
キキョウの取り合わせとして適しているお花の例として、個性的な花びらが特徴のシャガ、夏に白い花をつけ秋になると赤い実をつけるナナカマド、赤みのある穂をつけたワレモコウなどがあげられます。
日本古来から愛される美しさ、可憐な姿を生かした生け方が出来るとキキョウの魅力がより引き出されるのかもしれません。

鶏頭(ケイトウ)

鶏の頭に似ていることから「鶏頭」と呼ばれるお花。ケイトウは立てに伸びる炎のような形の「ウモウゲイトウ」、切り花としてよく流通している横に広がった「トサカケイトウ」、そして「ヒモゲイトウ」と呼ばれる下に垂れ下がった毛糸のような見た目のもの等があります。
中でもお花屋さんで夏によく見かけるトサカケイトウの花は、赤や緑、黄色やピンクなどの色があり、うねうねとした形の花びらに短い毛がモコモコと生えている、とても個性的でフェルト人形のような可愛らしい見た目をしています。
ケイトウは奈良時代に染色、食用の目的で日本に輸入されましたが、現在は生け花やフラワーアレンジメントでも夏によく使用されるお花です。

■ケイトウの生け方

ケイトウは強烈ながらも可愛らしいその見た目から、作品における中央の高さから低い位置に生けられることが多いようです。
ケイトウの取り合わせに良いとされるお花の例として、夏の代表的なお花のひまわり、紅葉のイメージが強いですが夏の緑色の時も可愛いカエデ、ブルーベリーのような実を着けるナツハゼなどがあげられます。
とても個性的ですが、実際に触れてみるととても可愛らしく思えるお花ですし、夏の間はよくお花屋さんでも販売されているお花なので、ぜひ生け花や茶花、インテリアとしてのお花にチャレンジしてみてください。

向日葵(ヒマワリ)

誰もが知っている夏の代表的な花、ヒマワリ。実はヒマワリにも様々な種類があり、私たちが最初に思い浮かべるような黄色い花びらの大きなヒマワリは「サンリッチオレンジ」と言います。他にも、菊のように何枚もの花びらをつけた丸くてモフモフ姿が可愛い「テディベア」、茶色い花びらがお洒落な「クラレット」、ちりぢりになったような花びらが個性的で魅力の「ゴッホのひまわり」「モネのひまわり」など、実はヒマワリといってもその種類は様々です。

■ヒマワリの生け方

ヒマワリは誰でも知っている夏の元気なお花なので、初心者の方でも生け花やお花を飾る際にとても扱いやすい花材だと思います。例えば花の位置を高くしたり、特徴でもある大きな花を生かして茎を短めに切って作品の足元を隠すといった方法もあります。ヒマワリの元気な姿をのびやかに表現できると、その良さを引き出せるのではないでしょうか。
取り合わせとして適しているお花の例として、例えば紫色の丸いお花をつけて茎が踊るようにうねうねしているタンチョウリーキを合わせて作品全体の個性を出したり、真っすぐな茎に白っぽい縞々が特徴の水生植物の縞フトイを組み合わせて絶対に共に生えることがない陸上のヒマワリと水生の縞フトイの共演を楽しむのもよさそうです。

茴香(ウイキョウ)

別名フェンネルとも呼ばれるこの植物は、糸のような細い枝に傘のような黄色い花をつけるウイキョウ。真っすぐに立ちあがった茎の上に可愛らしい花をつけるその姿は、夏の生け花ではよく見かける花材の1つです。
実は古代ギリシア時代から食用や胃腸薬などの薬としても使用されており、日本には平安時代に薬用として中国から伝わり、花材となったのは割と最近になってからだそうです。なお花屋さんで販売されている花は観賞用のため食べることは出来ません。

■ウイキョウの生け方

のびやかな姿を生かし、茎を長めに切って花の位置を高く生けたり、お皿やお盆のような形の器に生ける際はウイキョウを立てではなく横に伸ばすような形で生けることもできます。
取り合わせのオススメは、赤く元気に咲くダリア、赤と黄色が鮮やかで異国の風を感じさせるグロリオサ、バラなど華やかな花と生けられることが多く見られます。そうしたお花と共に、カラテア・ランキュフォリアといった鮮やかな緑に楽し気な模様がついている個性的な葉も相性が良いです。

梅花空木(バイカウツギ)

最後は枝物をご紹介いたします。バイカウツギは別名「卯の花」とも呼ばれています。
梅花という名前がついていますが、花は6~7月にかけて咲き、梅と違って花びらが4枚になります。代表的なバイカウツギは初夏になると白い梅に似た花を咲かせ、少し甘い匂いがします。他にも花が淡いピンク色のもの、八重桜のように花びらがたくさんついているものなどもあります。空木という名の通り枝の中が空洞になっていることも特徴の1つです。

■バイカウツギの生け方

バイカウツギは枝の特徴を生かした生け方が多く見られます。ですので、最初は器に合わせて枝を短くなりすぎない程度に適度な長さで切り、生けてみて、その周りに花や草などを配置すると小さなお庭や自然を表現するような作品になっていきます。
取り合わせとしてよく見られる花は、紫やピンクが可愛いキク科の小さなお花アザミ、夏に咲く早咲きの菊である夏菊、しなやかで優しい印象の芍薬などがあげられます。

いかがでしたでしょうか。今回ご紹介したお花以外にも夏のお花屋さんには鮮やかな花がたくさん揃っています。ぜひ様々な花、枝、葉を組み合わせて、暑い夏にぴったりな元気いっぱいの生け花を楽しんでみてください。