最近は抹茶もブームに?コーヒー大国・デンマークのティー事情

最近は抹茶もブームに?コーヒー大国・デンマークのティー事情
2020年11月2日 Aimu Ishimaru
In 海外

デンマークは世界有数のコーヒー消費大国。コーヒー消費量の世界ランキングでは他の北欧諸国と並んでいつも上位にランクインしています。日照時間の短い北欧諸国で、興奮作用や覚醒作用のあるカフェインを多く含んだコーヒーは、単なる嗜好品ではなく心身の健康を支えるアイテムとして重宝されていると言われています。

また、デンマークで大切にされている、Hygge(ヒュッゲ)とよばれる「心地よい時間」という概念が、自然とおしゃべりや休憩のお供としてコーヒー人気を後押ししたのかもしれません。

では、コーヒーが主流のデンマークでは、紅茶やお茶の文化は発展していないのでしょうか?

バラエティー豊富な紅茶たち

デンマークのヒュッゲは、なにもコーヒーだけが独占しているわけではありません。多くのデンマーク家庭がコーヒーメーカーを持っているのと同じように、紅茶も常備している家庭が多いのです。

寮やアパートで生活している学生たちは、必ずしもコーヒーメーカーを持っているわけではないので、むしろ食後は紅茶を楽しむ人が多いような気がします。私がデンマークで住んでいた頃、友達と夕食を作って映画を見るといったヒュッゲな時間を過ごす時には、紅茶が必須のアイテムでした。

スーパーに行くと、日本のスーパーでは見ないほど、紅茶がたくさん並べられているのが目に入ります。フレーバーも豊富で、特にハーブティーの種類がたくさんあるのが印象的でした。ちなみに、私はよくPUKKAというイギリスメーカーの様々なフレーバーの紅茶を飲んでいました。

北欧最古の紅茶専門店A.C.パークス

デンマークで有名な紅茶専門店といえば、A.C.パークスです。1835年にコペンハーゲンでオープンし、今では170年以上の歴史を誇る北欧最古の紅茶専門店となりました。A.C.パークスの紅茶は王室でも長年愛されており、王室御用達の証である王冠のマークの使用が認められています。

コペンハーゲン、オーフス、そしてノルウェーのオスロに3店舗を構えるA.C.パークスですが、私は当時住んでいたオーフスの店舗に何度かお邪魔しました。種類豊富な紅茶のラインナップには、日本の玄米茶や玉露などもあります。

紅茶だけを楽しむのもいいですが、訪れる際は是非アフタヌーンティーセットを試してみてください。サンドイッチとデザートとスコーン、どれもとても美味しいです。私は、普段スコーンはあまり好きではないのですが、A.C.パークスのスコーンはとても美味しくいただきました。

スコーンには、ジャムとレモンカード、生クリームがセットで用意されています。スコーンにホイップクリームを塗り、ジャムかレモンカードをのせると、なめらかで濃厚な美味しいスコーンが味わえます。

ちなみに、アフタヌーンティーには、クレマンというシャンパンのようなスパークリングワインをつけることができます。発泡度が低くキメの細かい泡、11.5%という低いアルコール度数で、私のようにお酒が苦手な方でもフルーティーでとても飲みやすいのでおすすめです。

健康志向で抹茶がブーム?

デンマークでは近年の健康志向の流れもあってか、抹茶は人気のあるフレーバーになっています。さすがに、お茶席でいただくようなお抹茶を提供しているお店はレアですが、抹茶フレーバーのドリンクやスイーツはコーヒーショップやカフェなどでよく見かけます。

抹茶自体は、アジアンスーパーなどで手に入るもののかなり高額です。デンマークで気軽に家庭でお抹茶を楽しむのは厳しいかもしれませんね。ですが、静かにお抹茶をたてて、美味しいお菓子を楽しみながらほっこりする時間は、デンマークのヒュッゲと通ずるものがあります。

茶道のお稽古やお茶会に行くと、普段の忙しさやストレスを忘れられるという方も多いのではないでしょうか。ただゆっくりと抹茶とお菓子とともに時間の流れを楽しむ時間、そんなヒュッゲをもたらしてくれる茶道。ヒュッゲが大好きなデンマーク人との相性もバッチリなのかもしれません。