【茶の湯】1月の茶趣・行事・取り合わせ

日本は春夏秋冬に応じた年中の諸行事を積み重ねて、伝統の文化としての茶の湯が今に至っています。「茶事」は一年を通じ、四季にわたって催されますが、今回は1月の歳時記をご紹介します。

 

1月の呼び方

一月はさまざまな呼び方があります。

睦月

元月

端月

初春月

子日月

太郎月

年端月

嘉月

初月

孟春

 

1月の茶趣

■若水汲み

古来より若水は飲めば若返る豊かな生命力を持つ水と信じられてきました。古代の宮中では立春の日の早朝に主水司が天皇に奉ったと伝えられてます。若水は寅の刻に井戸水が最も澄む清浄な水の状態と言われています。この若水を汲みにくことを若水迎と言い、水を重んじる茶の湯の世界では1年の初めに若水迎えを行います。この汲み上げた若水を1年の無病息災を願って大福茶に用います。

■大福茶

正月元旦の早朝(朝4時)に汲み上げた若水でお茶を点て、家内一同が揃って飲む祝儀の茶です。一般的には煎茶に梅干しや昆布、山椒などを入れて飲み、旧年中の邪気を払って年が改まったことを実感します。大福茶は、大服(大量)に茶を点てることからの呼び名と言われ、大服茶とも言われています。

■結び柳

正月や初釜の床の間に飾る柳のことです。長い柳を中程で輪状に結んで掛けます。花入は青竹の柳筒を使い、根締めには白玉椿などを入れます。和を尊び魔を払うとして、結んでなお畳にひくほど長い枝が喜ばれます。

 

1月の行事

■初釜

初釜は、年が明けた新年に、茶道のお稽古を開始する日のことをいいます。茶道の新年会といったところでしょうか。新しい年を祝ってお茶をいただく「お稽古始め」です。

社中や知人、友人と共に新年にふさわしいお目出度い道具や、その年の干支や御題にちなむ道具を使って行われます。稽古始め、点て初、初寄りなどとも呼ばれます。古くは初釜と呼ばずに「天王寺屋会記」という書物によると正月初めの会は「初会」といい、近衛予楽院の「槐記」には、「茶湯始」「初茶湯」とあります。また別の記録では年の初めより15日間の茶の湯は大福、それ以後は春茶ということから、各茶家では元旦に島台茶碗で飲みまわす大福茶が点て初めにあたるといえます。初釜の呼称は明治時代以降と考えられてます。

開催時期は、一般的には1月10日頃に行われます。しかし、1月1日から行うところもあり、時期については多少異なることもあります。

■義政忌(よしまさき)

室町幕府8代将軍足利義政は、庭園、立花、茶の湯、能楽、連花などに深い関心を持ち、のちに京都の東山山麓に銀閣を中心とする東山山荘を営みました。持仏堂である東求堂の同仁斎(義政公が書斎としたとされるお部屋)は四畳半茶室の原型とされます。義政の収集した茶道具は東山御物としても知られています。1490年、57歳で亡くなりましたが、1981年ごろまで銀閣寺で供茶釜が掛けられていました。

 

1月の取り合わせ

■掛物

「寿」「福寿海」「萬々歳」「千里同風」「天下一家春」「春色無高下」「千年丹頂鶴」など

■花

蝋梅、曙椿、白玉椿、太郎庵椿、黄梅、千両、万両、福寿草、寒梅、雪割草、雲龍柳、鶯神楽、寒牡丹、突羽根、妙蓮寺椿など

■花入れ

古銅鶴音、端坊、青竹など

■香合(香を収納する蓋付きの小さな容器)

亀、振々、布袋、重ね餅、赤玉、海老、獅子、蜜柑、麒麟、烏帽子など

■炉縁

真塗、宝尽し、松唐草蒔絵、宝船蒔絵、高台寺蒔絵など

■釜

鶴首、重ね餅、富士、住吉、蓬莱山、松竹梅地紋、浜松地紋、亀甲地紋、万代屋、宝珠など

■棚

長板、寿棚など

■水指

芋頭、手桶、松竹梅、海老手、砂金袋、振々、烏帽子棚、木地曲など

■茶入

肩衝、文琳、茄子など

■薄器

曙棗、独楽棗、荒磯棗、老松茶器、鞠棗など

■茶碗

島台、雲鶴、花三島、御所丸、富士の絵、海老絵、宝尽文など

■蓋置

青竹引切、三宝など

■菓子

未開紅、千代の蔭、常盤饅頭、笑窪、福寿など

■1月によく使われる銘

祝、翁、蓬莱、千歳、雲井、若水、老松、神楽など